横川にはスーパーも小児科も無い。でも3人子連れで移住したいと思った理由
横川いいでしょポイントが多すぎて、小分けして紹介しないと小論文になりそうな予感。
そんなわけで今回は「町内にスーパーも小児科もない横川町に、私がそれでも引っ越したいと思った理由」について触れていきます。
胃もたれ注意でよろしくお願いします(適宜、休憩を挟んでくださいw)
(前回記事はこちら↓。横川町の立地と周辺環境について語ってます。)
1.県内最古の木造駅舎は今も現役!国の登録有形文化財が”暮らしの足”という贅沢
一目で歴史の深さを感じる大隅横川駅。
明治36年建築、116年もの間、建築当時の姿をそのまま維持する現役の木造駅舎です。
国の登録有形文化財にも指定されていて、同じJR肥薩線の嘉例川駅とは同級生。
鹿児島県内最古の木造駅舎なのです。
(つまりJR肥薩線に乗ると県内最古の駅舎を2つも一気に見られるってこと!おトク! )
横川町には江戸時代から昭和にかけて、約300年もの間、薩摩藩の、そして日本全体の財政を支えた大きな金山があります。
明治維新の頃になぜ薩摩藩があんなにも力を持てていたのか。
その財政はここ、横川町にある山ケ野金山が支えていたという一説が。(というか間違いなくそうでしょう。全国3位の産出量ですから。)
明治に入ってしばらく経ち、日本でも鉄道が普及し始めた明治36年。
金山を中心に北薩の物流拠点として栄える横川町に、鹿児島で初めての鉄道が整備されます。
それが今のJR肥薩線であり、その時に建築されたのが大隅横川駅。
当時の姿のまま活躍する木造駅舎は今、地元の高校生達の通学を見守っています。
※山ヶ野金山の開山にまつわる物語。昔話みたいでおもしろい。
2.生活のすぐ隣に、数百年前の史跡がゴロゴロしてる
横川町内にはびっくりするほどたくさんの史跡があります。しかもほとんどが数百年前レベルの古さ。
2011年に史跡めぐりのミステリーツアーを企画したら県外からも人が来て大人気だったらしい。(絶対復活させたい企画の一つ。)
その中でも特に感動したものが、↑の写真にもある「赤水の岩堂磨崖仏」と横川町内各所に点在する田の神さあ。
①横川町下ノ 赤水地区 約700年前から眠る「赤水の岩堂磨崖仏」
「赤水の岩堂磨崖仏」は宅地分譲中で住宅が建つあたりから車&徒歩で20分ほど山に入ると突然現れる不思議な場所です。
鎌倉幕府が滅亡した直後の『建武弐年(1334年)十二月十五日』という日付が磨崖仏の横に掘られています。
つまり、ここは約700年前に誰かの手によって拓かれて、何らかの目的で断崖絶壁の麓に仏像を掘った場所。
渓谷になっていて、周りは断崖絶壁の山肌がそびえ立ち、霧島の中心を流れる天降川の源流が磨崖仏の正面を横切っています。
「あれ?今っていつ?」
すっかりタイムスリップしてしまって、たまに上空を通る飛行機のエンジン音で現実に引き戻されるようなところです。
実はここに来るまでの道はちゃんと舗装されていて、参拝者用のトレッキングポールも置いてあるからスニーカーなら行ける場所。
駐車場から徒歩で山を下ること10分くらいで着きます。
(※ただし山の中すぎて携帯電波が入りません。途中の道も狭いので、一人では行かない方がいいかと。)
磨崖仏からさらに奥へ進むと子宝・出産・授乳の神様が祀られる子産恵の宮(このみや)神社もあります。お宮は大きな岩の下に広がる洞窟の中。
②横川町内各所 生活圏内に溶け込む約200〜300年前の田の神さぁ達
田の神さぁとは、江戸時代中期から始まった薩摩藩独特の民族文化です
田の神は、冬は山の神となり、春は里におりて田の神となって田を守り、豊作をもたらすと信じられています。
「田の神」信仰は、全国的な民俗行事として古来から農村に浸透していますが、「田の神」を石に刻み(田の神石像)豊作を祈願する風習は、18世紀初めに始まる薩摩藩独特の文化です。
「田の神石像」ができたころは、霧島の噴火・天災などが原因で、農家にとって大変きびしい時代でした。江戸時代からの赤字経済を立て直すため、薩摩藩では少しでも収穫を増やそうと、稲作を奨励する政策を行っていました。このような政策の中、農家は霧島の噴火をやめさせ、稲作の豊作を願うために「よりどころの像」を作るようになったといわれています。(引用:えびの市観光協会HP.「田の神さぁ」ってなに?(2020年3月15日閲覧)http://ebino-kankou.com/tanokansa/)
横川町内には民俗文化財に指定されてる田の神さぁが6体ありますが、それ以外にもあって、全部で何体あるんだろうか…人ん家の敷地内とか駐車場の脇とかにもいるんですよね。
(車で走ってると「おっ!いた!!」ってなる。トレジャーハントゲームできそう。「制限時間内に1体でも多く田の神さぁを探せ!!」みたいな。レア度でポイント制)
そうそう。これは横川だけじゃないと思うんですが、田の神さぁってただのお地蔵さんじゃないんですよ。
化粧してたり、服装が和風だったり洋風だったり、顔面にあんこ餅塗りつけられる風習背負ってたり(今じゃ完全に罰ゲーム)
しゃもじっぽいの持ってキャラクター的な全身バランスのやつとかいます(笑)
横川の田の神さぁ達も、みんな憎めない表情してて愛着わいてくるんですよ。神様っていうよりほんとにキャラクターみたい。
3.ちゃんと季節を五感で感じられる自然環境
これだけ横川の環境を愛している私ですが、実はずっと街中で育っています。
実家は鹿児島市内の中心部にほど近い住宅街。
大学と社会人で合計4年半ほど東京近郊に住んでいました。しかもそのうち2年は山手線の内側。
鹿児島に戻って結婚してからも、県庁目の前のマンション住まい。
買い物も交通手段も、何不自由ないところで暮らしてきました。(暇つぶしはショッピングモールが定番)
季節の移り変わりを感じる場所が、道路脇の街路樹とアパレルショップのマネキンって、悲しくないですか。
これまでずっとそんなこと思わなかったけど、横川に出会ってから心底そう感じるようになりました。だって、どこに立っていても季節の色をつけた自然が視界に写り込んでくる。
「わぁ〜きれーい」って無意識に呟いちゃう。触ってみたくなる。匂いを嗅いでみたくなる。
霧島の市街地もそうですが、もはや生活の中で季節を感じる機会ってどんどん無くなってきてると思うんです。
冬でも最近暖かいし、山は遠くにある。手が届く自然といえば公園か、車移動が必要。
家の花瓶に花を生けたいと思えば、わざわざ花屋さんを探さないといけない。
季節ってお金払って買うものなんだ?
先月、雪が降った翌日の、横川に何十年と住んでいるおじさん達の会話。
「お〜お前、今朝の外みたか?」
「あ〜、綺麗やったなぁ。山の木に雪が積もってよぉ。真っ白やったなぁ…あれは綺麗やったぁ〜…」
この町で生まれ育って、もう何十年と住み続けている人達。
見慣れているであろう地元の風景のはずなのに、目を輝かせて素直に感動できるって、これ地味にすごくないか?って思うんですよ。
横川町の人達が地元大好きで、地元のために何かできないかって思って個人単位で動ける原動力は、もしかしてその感性や素直さ、自分への正直さから来てるのかもしれないって、あの会話を聞いたときに思ったんです。
うちの子ども達3人はまだ保育園に通う年齢。スポンジのようにありとあらゆるものを吸収して”自分”をつくっている時期。
お金を払えば何でも解決できちゃう便利で孤独な世界で育てるよりも、今ある物で頭ひねって不便さを解決したり、寒いって言いながらも外に遊びに行くような、そんな環境で育てたい。
大人が教育の場をお膳立てしなくても、町の環境が子ども達の”変化の中を生き抜く力”を育ててくれると思うんですよね。
ちなみに、横川には有名な水源「大出水の湧水」もありまして。
(上記2点写真引用:霧島市HP.遊び・レジャー.観光施設 (横川地区)https://www.city-kirishima.jp/kirikan/kanko/leisure/yokogawa/sisetu.html#oodemizuyusui)
そのまま汲んでも異物が一切入らないですよ。で、もう水を買えなくなるくらい美味しい。
道が整備されて一人でも安心して行けるようになりました。ぜひ行ってみてくださいませ。
4.不便なのに横川に住みたい理由は”生き抜く力”が育つ最高の環境だから
今回も長く語りました。以下、まとめます。
- 横川には買い物が一度で住むようなスーパーも、小児科もないよ。お金で買える便利さは確かに少ない。
- でも車で20分圏内にはスーパーも小児科も他の病院もあるし、カフェとかもある。(隣町に入るとすぐある)
- そんなちょっとした不便さに対して、横川の”歴史と共存する生活環境”や”感性を磨く自然環境”って、いくらお金積んでも買えないよねって話。
- 自分の頭ひねったアイディアで解決する環境で育った子達はめっちゃ頼もしいし、きっと彼らはどんな未来でも自分らしく生きていける。(これは大人も一緒)
- 不便さや思い通りにいかないもどかしさ、そして自分一人でできることの限界を成長段階で既に知ってるってことが特に重要。人の痛みが分かるし、それを解決する術を捻り出せる。
はい!そういうわけで、今回も高カロリーでお届けしました横川紹介。
ここまで読んでもらってわかったと思うんですが、横川は決して万人ウケする土地じゃないです。っていうか田舎全般そうですが。
今回書いたことも、「うんうん!!」って思う方もいれば、全然ピンとこない方もいて当然。
自然・歴史・史跡・文化芸術・情操教育・鉄道・昔話(神話)・建築物・探求
そんなテーマが好きで考えるとワクワクしちゃう、そんな人はぜひ一度横川へ!
さてさて、次回は。
- 学校の規模感と地域との距離
- 突然現れる、思わずカメラを構えるインスタ映えスポット
- 個性きわだつ粒揃いの地元商店
- 意外な側面:イオンタウンまで約30分、町内には進出企業が14社。
- 地元の人がwelcome感満載で地元大好き
次も胃もたれ注意でお願いします。
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